聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
2
カイの活躍によって黄泉の国から戻り目覚めたリュティアは、二つの虹の聖具を身につけ急いでピューアの村に向かった。セラフィム曰く、聖具が三つ揃えば、どんな病もたちどころに治すことができるということであったから、何よりもまずアクスを救いに行ったのだ。
アクスは宿屋のベッドで村人たちに介抱されていたが、病気の症状に加えて脇腹にひどい怪我を負っており、彼が指にはめた聖具虹の指輪の力をもってしても命が危うい状態だった。その彼から指輪を抜き取る時は、すぐに彼が死んでしまうのではないかとひやひやした。
だが三つの聖具を身につけるという感覚は想像を絶した。
体中に聖なる力が満ち溢れ、無限に注ぎこむことができる気がした。
実際、そうだった。
アクスにいくら癒しの力を注ぎこんでも、以前のように気を失うようなことはなかった。それどころか、何か消耗したという気さえしなかった。
アクスの顔色が良くなり、彼が身を起しても、まだリュティアは病まで癒すことができたとは信じられずにいた。しかし長年患ってきたアクス本人にはすべて癒されたことがはっきりとわかったという。
アクスはベッドから降りると、リュティアの手を取り跪いた。
『リュティア王女。私は貴女に生涯の友情を捧げる。あなたとの約束のとおりに、思うとおりに生きる。どうか今度からはただアクスと、呼び捨てにしてほしい』
『わかりました…ええと、アクス』
二人の仲間が生涯の固い絆で結ばれた瞬間だった。その隣では、セラフィムがカイに頭を下げていた。
『カイ…私をさらってくれて、ありがとう』
『カイお兄さん、セラフィム様を助けてくれて、ありがとう、本当にありがとう』
カイは照れくさそうに笑って「よかったな」とフューリィの頭を撫でた。
『しかし、状況は予断を許しません…今――』
喜び冷めやらぬ空気の中、セラフィムは言った。
急いでフローテュリアを再興し、女王となれと。
世界を一刻も早く聖なる守りの力で包まなければ、闇の力を手にした魔月王によって世界は滅ぼされてしまう危険があると。
いよいよ戦いの時が来たのだと。
アクスは宿屋のベッドで村人たちに介抱されていたが、病気の症状に加えて脇腹にひどい怪我を負っており、彼が指にはめた聖具虹の指輪の力をもってしても命が危うい状態だった。その彼から指輪を抜き取る時は、すぐに彼が死んでしまうのではないかとひやひやした。
だが三つの聖具を身につけるという感覚は想像を絶した。
体中に聖なる力が満ち溢れ、無限に注ぎこむことができる気がした。
実際、そうだった。
アクスにいくら癒しの力を注ぎこんでも、以前のように気を失うようなことはなかった。それどころか、何か消耗したという気さえしなかった。
アクスの顔色が良くなり、彼が身を起しても、まだリュティアは病まで癒すことができたとは信じられずにいた。しかし長年患ってきたアクス本人にはすべて癒されたことがはっきりとわかったという。
アクスはベッドから降りると、リュティアの手を取り跪いた。
『リュティア王女。私は貴女に生涯の友情を捧げる。あなたとの約束のとおりに、思うとおりに生きる。どうか今度からはただアクスと、呼び捨てにしてほしい』
『わかりました…ええと、アクス』
二人の仲間が生涯の固い絆で結ばれた瞬間だった。その隣では、セラフィムがカイに頭を下げていた。
『カイ…私をさらってくれて、ありがとう』
『カイお兄さん、セラフィム様を助けてくれて、ありがとう、本当にありがとう』
カイは照れくさそうに笑って「よかったな」とフューリィの頭を撫でた。
『しかし、状況は予断を許しません…今――』
喜び冷めやらぬ空気の中、セラフィムは言った。
急いでフローテュリアを再興し、女王となれと。
世界を一刻も早く聖なる守りの力で包まなければ、闇の力を手にした魔月王によって世界は滅ぼされてしまう危険があると。
いよいよ戦いの時が来たのだと。