聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
朝議は別名“最高議会”とも呼ばれ、毎朝この広い議場“鳳凰の間”で行われる。

新生フローテュリアは現在、かつての王都のみをその国土として小規模な国として運営されている。

王都を地区ごとに八つに分けて仮の土地とし治めさせ、各地の代表者を決め、その八名がこの議会に召集される。

さらに軍からは総帥他二名が、神殿からも大司教、大巫女、司祭の三名が召集され、軍議から商業、宗教的なことがらまで幅広く話し合われるのである。

この朝議を受けて夜、各地の長たちの会議、軍の会議、神殿の会議がそれぞれに行われ、その内容がまた翌日の朝議に反映される。

鳳凰の間に入るなり、皆の視線が女王に集中した。リュティアはあれ、と内心動揺する。彼らの視線の中には独特の棘があり、まるで先日髪飾りをしてきた時のような雰囲気ではないか。

―今日は飾らないで来たのに…。

彼らの露骨な視線がリュティアの長い髪に突き刺さるのを感じて、リュティアはようやく気がついた。

きっと髪をおろしてきたからだめなのだと。

女王なのにだらしがないとでも思われたのだろう。

リュティアは羞恥に頬を染め、穴があったら入りたいような気分になった。でも、と心が叫ぶ。―飾ってもダメ、飾らな過ぎてもダメ、ではどうしろというのか!

リュティアは渦巻くもやもやとした思いを顔に出さないように努めながら、礼を取る皆に頷いて合図を出し、皆が着席するのを待って最後に着席した。女王は最後に座るものなのだということも、実際に最初の朝議の日に恥ずかしい思いをして知ったことだ。

朝議は流れるように始まった。
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