聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
カイの頭の中で、不思議そうに小首を傾げてカイを見上げるリュティアが鮮やかに純白のドレスをまとう。あしらわれたレースに、首飾り、白薔薇のブーケ…リュティアの花嫁姿はどんなに綺麗だろう。幸福な想像が彼の言葉を詰まらせる。
―言うのだ。
―今しかない、言え!
鼓動が体中にがんがん鳴り響く。指先まで脈動している。
「お前を………」
生涯で一度のプロポーズになるはずだった。
そのために、場所を選んだのだ。
しかしカイが次の言葉を発する前に、リュティアがふっと笑って言った。
「そしたらまた、旅ができますね」
は、まで発音していたカイは、続きを言うかわりにえ? と情けない声をあげてしまう。
「今度は聖具を探す旅じゃない、純粋に、楽しんで、旅ができます。なんてすばらしいんでしょう」
「あ? ああ、そうだな……」
カイは慌てた。話が変な方向にずれていっている。リュティアは「でも」と考え込むように顎に手を当てる。
「それは確かに素敵ですけど…もう少し、考えてみたい。自分がどうしたいのか、何ができるのか…女王として、きっと私にできることがあると思うんです」
リュティアの瞳はカイではなく、すでにどこか遠くをみつめていた。
カイはプロポーズの絶好の機会を逃してしまったことに気がついたが、後の祭だった。
―言うのだ。
―今しかない、言え!
鼓動が体中にがんがん鳴り響く。指先まで脈動している。
「お前を………」
生涯で一度のプロポーズになるはずだった。
そのために、場所を選んだのだ。
しかしカイが次の言葉を発する前に、リュティアがふっと笑って言った。
「そしたらまた、旅ができますね」
は、まで発音していたカイは、続きを言うかわりにえ? と情けない声をあげてしまう。
「今度は聖具を探す旅じゃない、純粋に、楽しんで、旅ができます。なんてすばらしいんでしょう」
「あ? ああ、そうだな……」
カイは慌てた。話が変な方向にずれていっている。リュティアは「でも」と考え込むように顎に手を当てる。
「それは確かに素敵ですけど…もう少し、考えてみたい。自分がどうしたいのか、何ができるのか…女王として、きっと私にできることがあると思うんです」
リュティアの瞳はカイではなく、すでにどこか遠くをみつめていた。
カイはプロポーズの絶好の機会を逃してしまったことに気がついたが、後の祭だった。