聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
第六章 ルクリア
1
「殿下……!?」
カイの喉からやっと声が出たが、それはくぐもった呻きのようにしか聞こえなかった。
呆然と見上げれば、月明かりに蒼く輝く髪の間、白い細面の中の双眸と目が合う。その目は深い悲しみや苦悩のようなものをたたえて潤んでいた。
ラミアードはその視線をわずかに逸らして言った。
「すまない…こうするしかないんだ…死んでくれ、カイ」
カイは自分の目と耳が信じられなかった。
ただ頭の中で疑問が鳴り響く。それが声となって迸り出る。
「なぜ………!?」
ラミアードの次の一撃を、カイはかわすことも短剣で受け止めることもできなかった。あまりの精神的衝撃に身動き一つできなかったからだ。
カイは次の瞬間には、命を失う理由を知ることも叶わずに死するところだった。
だが突き出された剣はカイの胸の皮膚をわずかに切り裂いただけでその動きを止めた。
胸にあてがわれた剣先がぶるぶると震えている。
ラミアードの手が震えている。
「…………できない………」
押し殺した声でラミアードが呟いた。
「…できない…お前を殺せるはずがない……!! くそ…!!」
それほど苦悩に満ちた声をカイは聞いたことがなかった。
ラミアードは不意に剣を引き、それを力任せに地面に叩きつけた。
剣が地面に転がる乾いた音を聞きながら、カイは虚ろに呟く。
「なぜ……」
それしか言葉が出てこない。
カイの喉からやっと声が出たが、それはくぐもった呻きのようにしか聞こえなかった。
呆然と見上げれば、月明かりに蒼く輝く髪の間、白い細面の中の双眸と目が合う。その目は深い悲しみや苦悩のようなものをたたえて潤んでいた。
ラミアードはその視線をわずかに逸らして言った。
「すまない…こうするしかないんだ…死んでくれ、カイ」
カイは自分の目と耳が信じられなかった。
ただ頭の中で疑問が鳴り響く。それが声となって迸り出る。
「なぜ………!?」
ラミアードの次の一撃を、カイはかわすことも短剣で受け止めることもできなかった。あまりの精神的衝撃に身動き一つできなかったからだ。
カイは次の瞬間には、命を失う理由を知ることも叶わずに死するところだった。
だが突き出された剣はカイの胸の皮膚をわずかに切り裂いただけでその動きを止めた。
胸にあてがわれた剣先がぶるぶると震えている。
ラミアードの手が震えている。
「…………できない………」
押し殺した声でラミアードが呟いた。
「…できない…お前を殺せるはずがない……!! くそ…!!」
それほど苦悩に満ちた声をカイは聞いたことがなかった。
ラミアードは不意に剣を引き、それを力任せに地面に叩きつけた。
剣が地面に転がる乾いた音を聞きながら、カイは虚ろに呟く。
「なぜ……」
それしか言葉が出てこない。