泣き虫王子と哀願少女
「あ~、あはは~!じゅ、順位? 順位ね!えっとその……ま、真ん中くらい……かな!」
「ふーん……」
大嘘である。
本当の順位は300人中285位。100番以上サバを読んだことになる。
そんな私の順位にさして興味を示した様子もない潤君は、再び教科書へと視線を落とし勉強へと戻る。
「たいして興味がないなら聞かないでよ~!」という私の心の叫びを、もちろん潤君は知る由もない。
それにしても、なんでそんなに頭のいい人が急に一緒に勉強なんて言い出したんだろう?
あまり勉強が得意でない人ならいざ知らず、それだけ勉強ができる潤君ならば、むしろ私が一緒に勉強するのは教える手間まで出来てしまい何の利点も無いはずである。
もしかして私がおバカさんだということを唯一知っている明里が、気を利かせて潤君に頼んだのだろうか?
気になってなかなか勉強に集中できない私は、再び潤君に問いかける。
「ねぇ。なんで一緒に勉強しようなんて思ったの?」
「!!」
「……?」
潤君にしては珍しく、一瞬ひるんだ表情を見せる。
やや沈鬱げな面持ちで窓の外に目をやりしばし考え込んだ後、おもむろに鞄から小さな紙切れを取り出した。