泣き虫王子と哀願少女


―― カサッ……



「…………」

「?」



無言で私の目の前に丁寧に折り畳まれた紙を置く。



「……み、見ても……いいの?」

「あぁ」



なんとなくおかしい潤君の様子に、紙を広げる手が自然と緊張する。



「っ!!!」



『深海雫は学年順位が285番の大バカ女!!!』




広げた紙に書かれていたのは、パソコンで印刷された無機質な赤い文字だった。

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