泣き虫王子と哀願少女
◆真実と偽りの境界線
残暑が厳しい中にも、秋特有の涼やかな風が頬をなでてゆく。
いつの間にか静かになった蝉の声のかわりに、風でカサカサと鳴る葉の音が秋の訪れを告げていた。
「雫~っ! おっはよ~!」
「おはよう明里」
夏休み前と変わらない元気いっぱいの笑顔で明里が抱きついてきた。
季節は秋になり今日から2学期。
私はあの後なんとか期末テストをパスし、無事夏休みを迎えることができた。
これも潤君の指導のおかげである。