泣き虫王子と哀願少女


我が青葉高校の校舎は、至って平凡な3階建ての鉄筋コンクリート造り。


3階が2年生、2階が1年生、1階が3年生という具合に教室が並んでいる。


2年生である私の教室は文字通り3階なので、階段を上らなければならなかった。



寒い時期ならよいのだが、暑い季節はこれがなかなかの重労働なわけで……。



「よいしょ……」



じっとりと汗をかきながらようやく2つ目の踊り場に差し掛かった時 ――



ドンッ!



「キャッ」

「痛っ!」



突然目の前に現れた何かと、勢いよく衝突してしまった。

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