泣き虫王子と哀願少女
「い、たたぁ……」
弾き飛ばされ尻もちをついた私は、激しく打ち付けたお尻の痛みで思わずその場にうずくまる。
「…う…うーん……」
前方からも聞こえてくる辛そうな声。
「???」
未だ混乱中の頭を抱え声の主を探す。
視界に飛び込んできたのは、苦しそうな顔をして倒れている少女の姿だった。
「だだだだ、大丈夫っ!?」
思いがけない光景に自分の痛みなどどこかへ吹っ飛んだ私は、慌てて少女のもとへ駆け寄った。
「う……。うぅ……」
痛みのせいからか眉根を寄せとても辛そうな表情をしている。
「ど、どうしよう! とりあえず保健の先生呼んでこなくちゃ!」
「急がないと!」と焦って立ち上がった私の耳に
「ん……待って……っ」
なんとも弱々しい消え入りそうな声が聞こえてきた。