泣き虫王子と哀願少女
……こんなに可愛い子が同じ学校にいたなんてっ!
驚きと衝撃、それに喜びまでもが加わり、私は改めて少女に頭を下げた。
「私がちゃんと前を見ていなかったから……、その、ごめんなさい」
「ううん、私のほうこそ急いでたからいけなかったの。ごめんね」
「いえいえっ! あっ! 体は大丈夫!? どこか痛いところとかない?」
「うん、ありがとう。大丈夫」
キレイな顔に傷がつかなくてよかった、とホッと胸をなでおろす。
「立てる?」と少女に右手を差し出すと、ホームルーム開始が近付いたことを告げる予鈴が校舎に鳴り響いた。
「大変っ!もうこんな時間!」
私は慌てて少女を引き上げると、「本当にごめんね」と互いにもう一度謝りあい教室へと急いだのだった。