泣き虫王子と哀願少女
2学期に入り3日が過ぎた。
授業も通常の時間割に戻り、またいつもの日常が始まった。
「うーん。重いー……」
日直の私は、夏休みに出された数学の課題ノートを数学準備室へと運んでいるところである。
たかがノートと思いきや、それが全員分ともなるとその重量と厚みは侮れない。
女子高生の細腕ならば尚更である。
よろよろと蛇行しながらようやく数学準備室の前へと辿り着いたのだが……
「どうしよう……」
両腕がノートで塞がっているため、ドアを開けることができない。
ノートを直接床に置くのも微妙だしなぁ……。
10秒ほどその場で考え込む。
よし!
思い切って片手でノートを抱え直しドアを開けようとしたのだが……
バサバサバサッ
案の定バランスを崩しノートを落としてしまったのだった。