泣き虫王子と哀願少女
「やっちゃったー……」
慌ててノートを拾い集める。
かなり広範囲にばらまいてしまったため、集めるのも容易ではなかった。
「あと少し」
ようやく終わりが見えてきたその時 ――
「はいっ!」
突然背後から声を掛けられた。
「?」
集めたノートを抱えながらクルリと背後をふり返る。
「あ!」
そこには先日私がぶつかった少女が、ニコニコと笑顔でノートを差し出していたのであった。
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