泣き虫王子と哀願少女
「あなたはこの前の!」
「また会ったね♪」と、にこやかな顔で少女が近付いてくる。
あの時の子だーっ!
バサバサバサッ
「あ……」
思いもよらぬ人物の登場に、せっかく集めたノートをまたしても落としてしまった。
「キャッ! 大丈夫? 重そうだから私も手伝うよ」
「あ、ご、ごめんね! ありがとう」
改めて二人で拾い直し互いに向き合う。
「本当にありがとう。すごく助かったよ」
「ううん、どういたしまして!」
相変わらず可愛いなぁ!
ニッコリと微笑みながら話す少女にまたも目が釘付けとなる。
「私2年E組の宝生リカ(ほうしょう りか)。この前はごめんね」
「あ、ううん! 私は2年B組の深海雫」
「また会えて嬉しいな!」と、笑顔を絶やさず続けるリカちゃん。
「これもきっと何かの縁だよ! よかったら私とお友達になってくれないかな?」
「! も、もちろん私なんかでよければ喜んで!」
「うふふ! よかったぁ!」
今日1番の笑顔を輝かせると
「それじゃぁまたね!」
両手が塞がっている私のかわりにドアを開け、嬉しそうに廊下をパタパタと走っていったのだった。