泣き虫王子と哀願少女
2人きりの部屋に他愛のない会話が続いている。
―― 先生って本当に話しやすいんだなぁ。女の子達にモテるの、なんだかわかる気がする。
今まで特に話したことなどなかったため、初めて実感した。
そんな中ふいに先生が真面目な顔で口を開いた。
「ところで深海。お前好きな男はいるのか?」
「はい~!?」
突然の質問に、思わずコーヒーを噴き出しそうになる。
「あ、あの、先生!?」
真っ赤になって目をパチパチさせる私。
「お前らぐらいの女の子は必要以上に恋に憧れる年頃だろ? 深海だって例外じゃないだろう?」
「え、いや、あの……」
一瞬潤君の笑顔が頭に浮かぶ。
……はっ!なんでこんな時に潤君の顔が!
違う違うと否定するようにかぶりを振り勢いよく返事をした。