泣き虫王子と哀願少女
「いいい、いったい何なの~っ!?」
先程の須藤先生の意味不明な言動に頭の中が真っ白になる。
「チャンスがあるとかなんとか言ってたけど、他の女の子達にもいっつもあんなこと言ってるのかな!? だとしたらすっごいプレイボーイってこと!?」
バタバタとがむしゃらに廊下を走り、管理棟から教室棟へと抜ける渡り廊下へ差し掛かった。
「ハァ……ハァ……」
ドッと疲れが押し寄せた私は、乱れた息を整えながら壁にもたれかかる。
そのままその場にしゃがみ込みガックリとうなだれた。
「普通の高校生の女の子って、こんなの、なんてことないのかな……」
冷静に考えてみると、先生がプレイボーイだとすれば特に深い意味なんてない単なる冗談だったのかもしれない。
「ちょっとしたことであんなに動揺しちゃって……私ってダメだな」
今更ながらひとりで勝手に勘違いした自分が恥ずかしくなる。
それと同時に、恋愛経験の乏しさを情けないくらい痛感した。