泣き虫王子と哀願少女
「それでね! ……雫ちゃん? 聞いてる?」
「あ、ご、ごめんね! それで何だっけ?」
「うん! それで、雫ちゃんてC組の水沢潤君と仲がいいでしょ?」
「潤君!?」
突然潤君の名前が出て驚いている私に、「うん!」と弾けるような笑顔でリカちゃんが続ける。
「私、一度水沢君とお話ししてみたかったんだぁ!」
「へ、へぇ……?」
「雫ちゃん、放課後とかいつも水沢君と一緒にいて仲がいいんでしょ?」
「いや、べつに特別仲がいいわけじゃ……」
私の言葉を遮るようにリカちゃんが話を続ける。
そして ――
「今日の放課後、私も一緒について行ってもいいかな!」