泣き虫王子と哀願少女


結局あの後しばらくすると



「じゃぁ俺、そろそろ帰るから」



と潤君が切り出したことによりその場はお開きになったのだけれど……。



ふー、とひとつ溜め息をつき小さくうなだれる。



「雫ちゃん、すっごく楽しかったね!」



そう言って、天使の微笑みでリカちゃんがこちらを振り向いた。



「あー……、うん、そうだね!」

「うんっ!」



あれだけ潤君から素っ気ない態度をとられたのに、それでも楽しかったって言えるとは……! 私にそこまで気を遣ってくれて、なんていい子なんだろう……!

それなのに上手く会話の仲介さえしてあげられなかったなんて……。



そんな自分がなんとも情けなく思えた。



「それじゃぁ、また明日ね!」

「うん、また明日!」



バイバイ、と手を振りながら小走りに駆けて行くリカちゃん。


そんなリカちゃんの背中を見つめ、私もせめて内面だけはリカちゃんみたいな素敵な女の子になれるよう頑張ろうと、密かに心に誓ったのだった。

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