泣き虫王子と哀願少女


「っっ!?!?」



―― ガタッ!



驚きのあまり、はじかれるように立ち上がる。



「深海ー、どうしたんだー?」

「!」



須藤先生が、何食わぬ顔で平然と問いかけてきた。



「な、何でもありませんっ」


「すみません」と腰を下ろして須藤先生を睨みつける。



……なななな、何なの~っ!? 冗談じゃなかったの!?



クラクラどころではなくグルグルと回る頭を両手で必死に支えた。


そんな私を見透かすように、須藤先生がチラリと視線をよこす。


そしてパチンとウインクをした後、したり顔で微笑んだのだった。

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