泣き虫王子と哀願少女
「な、何でっ……」
「それはもちろん、40点以下がお前だけだったからに決まってんじゃ~ん!」
またしてもしたり顔で楽しそうに微笑む先生。
―― 謀られたっ!
遅まきながらそのことに気が付いた私は
「失礼しますっ!」
慌てて踵を返し準備室を出ようとしたのだが……
ガシッ
「!?」
「まぁ待てって。まだ何も指導してないだろ?」
「……っ!」
不覚にも手首をつかまれ動きを封じられてしまったのだった。