泣き虫王子と哀願少女


―― ギュッ……



私の手首をつかむ先生の手に、更に力がこめられる。



「痛っ!」



女の細腕では到底振りほどくことなどできない。



「離して下さい!」

「だから、指導がまだだと言っただろう?」



不敵な笑みを浮かべながら少しずつ距離を狭めてくる。



……ドクン……ドクン



恐怖と緊張からじりじりと後ずさり、やがて ――



ドンッ……


「あっ!」



逃げ場のない壁際へと追い込まれてしまったのだった。

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