泣き虫王子と哀願少女
「私、涙が出……」
「俺が泣き虫だから、それを克服するために協力してもらってんだよ」
「!?」
私の言葉を遮るようにして突然潤君が呟いた。
「潤、泣き虫さんだったの?」
思いもよらない潤君の介入に、小首を傾げるリカちゃん。
「なんで雫ちゃんにお願いしてるの?」
「男友達じゃダメだったの?」
何かが心に引っ掛かるのか、不思議そうな表情で次々と潤君に質問をぶつける。
「俺の泣き虫はガキん時から。こいつには俺が無理言って付き合ってもらってんだから、これ以上関係ない奴がごちゃごちゃ聞いてくんじゃねーよ」
ピシャリと言い放った潤君の一言に、まだ何か言いたそうだったリカちゃんが言葉を飲み込む。
……もしかして潤君、庇ってくれたの?
思いもよらない潤君の行動に、胸の奥が熱くなる。
気が付くと、先程まで続いていた胸の痛みもいつの間にか消えていた。