泣き虫王子と哀願少女
「潤ー! 雫ちゃーん!」
「あ、リカちゃん!」
スカートの裾を風に揺らしながら、リカちゃんが小走りにやってきた。
「ハァハァ……、ごめんね、待った?」
「ううん、私達もさっき来たところだから大丈夫だよ」
「よかったー!」
息をきらせながら、リカちゃんがニッコリと微笑む。
―― 相変わらず可愛いなぁ……。
可愛らしいピンクのパフスリーブTシャツに白いレースのミニスカート。
頭の赤いチェックのリボンカチューシャが、リカちゃんの可愛らしさを更に引き立てていた。
それに比べて私は、黒のデザインTシャツにデニムのホットパンツ。
カジュアル過ぎてお世辞にも「可愛い」とは言えないファッションだった。