泣き虫王子と哀願少女
……私ももっと可愛い格好で来ればよかったかな……。
一瞬そんな思いが頭をかすめる。
「し~ずくちゃん! どうしたの?」
「っ!」
リカちゃんが私の腕に自分の腕をからめ、心配そうに覗き込んできた。
どうやら、いつの間にかぼんやりしてしまったらしい。
「ごめんね、何でもないよ」と慌てて笑顔を繕いニッコリと微笑み返す。
私ったら何考えてんの!? リカちゃんと張り合うみたいなこと考えて……!
信じられないことを考えていた自分に驚く私。
それと同時に、どうしようもない恥ずかしさが込み上げてきた。
「ね~ね~、早く行こ~よ~!」
そんな私の心中などもちろん知る由もないリカちゃん。
無邪気な笑顔で私の腕を引き、潤君と共に遊園地へと向かったのだった。