泣き虫王子と哀願少女
「ハァッ……ハァッ……」
どれぐらい走っただろうか。
無我夢中であの場から離れ闇雲に走っていた私は、いつの間にか裏庭まで来ていた。
「ハァッ……ハァッ……」
胸も心も呼吸も、身体中全部が苦しい。
「ど……して、こん……なに、胸が……痛いの……?」
今までこんな痛み、一度も体験したことなどなかったのに……。
あまりの辛さから、近くにあった木の幹にもたれかかる。
そしてそのまま崩れるようにしてその場にしゃがみ込んだのだった。