泣き虫王子と哀願少女
「……にゃ~……」
「……?」
どこかから、猫の声が聞こえる気がする。
「んにゃ~……」
「……? ニャン太……?」
お腹を空かせているのだろうか?
私の気配を察したかのように、茂みから突然ニャン太が姿を現した。
「んにゃ~お」
珍しく私の足もとにまとわりついてくる。
「ニャン太……ごめんね。今日は餌ないの……」
「にゃ~」
不服そうに鳴くニャン太。
「潤君もね……、今日は……来られ……ないの……。っ……!」
「にゃ~!」
その時突然、私の頭の中にお日様みたいな潤君の笑顔が蘇った。