泣き虫王子と哀願少女
「っ……!」
「んにゃ」
私のことを心配そうに見つめるニャン太。
「そっか……。そうだったんだ……」
今ようやくわかった。
私は、潤君のことが好きだったんだ ―― ……。
「こんな時に……気付くなんて……ばかみたいっ……」
気付くと同時に、今までの潤君との日々が次々と私の中に溢れ出した。
「あんなに楽しかった毎日が嘘みたいだよ……」
そう呟いて抱えた両膝に顔をうずめる。
「にゃ~ん……」
そんな私に、まるで「大丈夫だよ」と慰めてくれるかのようなニャン太。
「ふふっ。今日は優しいんだね」
ニャン太の頭をそっと撫でてみる。
「ニャン太……お前はそばにいてね」
そうニャン太に告げた私は、日が暮れるまでずっとそうしていたのだった。