泣き虫王子と哀願少女
「あのさ……、しばらくの間、お前に協力出来なくなっちまったんだ」
「えっ?」
突然の言葉に頭が真っ白になる。
「な、何でっ!?」
やだっ! どんどん潤君が遠くなっちゃう……!
ショックのあまり潤君に詰め寄る私。
「すまん。昨日俺が打ったボールが原因で宝生が足挫いちまって……。しばらくの間俺がチャリで送り迎えしてやんないと……」
「でも、ボールがリカちゃんに当たったわけじゃないんでしょ!?」
「確かにボールは当たんなかったけど、俺のせいで驚かせて脳震とう起こしてケガしたことに変わりはないからな」
「でもでも、そんなのおかしいよっ! なんで潤君がそこまでしなくちゃならないのっ!?」
珍しく突っかかる私に、潤君が驚いているのがわかる。
それでもどうしても今日は途中で引くことが出来なかった。
「それならっ、私がリカちゃんの送り迎えするよ……!」
そう必死で提案する私に
「深海。これは俺の問題だ。俺がしたことは俺が責任を取る」
「っ!」
まるで一線を引くかのように、潤君が真剣な面持ちで呟いたのだった。