泣き虫王子と哀願少女
「うぅっ……ぐすっ……」
相変わらず館内は感動の余韻に包まれている。
「あ゛うぅっ……! うっ…… 」
……ん……?
そんな中の何気ない違和感……。
「う゛っ……! う゛ぅ゛ぅ゛っ……!」
……んん……?
なんだろう……。
やっぱり何かがおかしい……。
「ぐあ゛ぁ゛っ……ぐ…ぐ……ぐぉ゛~っ……!!」
……んんん~?……
明らかに周囲のものとは異なった、男性であろう低音ボイスの嗚咽……
いや、むしろ悲痛な叫びともいえる泣き声が、脱力していた私の頭上に勢いよく降り注いだ。