泣き虫王子と哀願少女
「!?」
パチッ
半分眠りに落ちかけていた頭を現実に引き戻し、勢いよく瞳を開く。
「よおっ」
「!」
私の目に飛び込んできたのは、太陽いっぱいに照らされながら私の顔を覗き込む潤君だった。
「潤君っ!」
一気に目が覚めた私は、その場にガバッと起き上がり潤君の方を向き直る。
「まったく。こんなとこで寝てっと制服汚れんぞ」
いつもと変わらない潤君に、胸が熱くなるほど嬉しかった。
それなのに……
「きょ、今日はリカちゃんと一緒じゃないの?」
「!」
し、しまった~!
焦って自らリカちゃんの話題を出して墓穴を掘ってしまうダメな私。
「べつに、四六時中一緒にいるわけじゃねーよ……」
「そ、そっか。そうだよね」
視線をそらし、潤君が小さな声で呟く。
なんだかむっとしているように見えるのは、私の欲目のせいだろうか。
「じゃあもしかして、潤君も昼寝に来たとか?」
「ばーか。お前じゃねーんだから違うっつーの」
「う……」
そう言って潤君が私の隣に腰を掛ける。
私もそれに習い、改めてきちんと並んで座り直した。