泣き虫王子と哀願少女
「―――― ……っていうことがあったんだけど、明里は彼のこと知ってる?」
しどろもどろになりつつも、ようやく話し終えた私を見るなり、妙に目をキラキラさせた明里がガバッと勢いよく抱きついてきた。
「どどどど、どうしたのっ!?」
わけがわからない私は、明里の腕の中でジタバタと必死にもがく。
けれどそんな私にはお構いないとばかりに、興奮した様子の明里がキャッキャしながら声をあげた。