泣き虫王子と哀願少女
◇それぞれの想い
数日後の放課後。
須藤先生との約束を果たすため、数学準備室の前へとやって来た。
あれから考えて考えて考えて……。
これ以上ないくらい考え抜いて自分自身で出した『答え』。
それを須藤先生に伝えなければならなかった。
ドキドキと鳴り止まない胸に手をあて、落ち着かせるように深呼吸をする。
よし、と改めて気合を入れ直し、震える手をドアへと伸ばした。
そして……
コンコン
「失礼します」
ガラッ ――
先生が待つ教室へと足を踏み入れたのだった。