泣き虫王子と哀願少女
「あ……の……、先生?」
「なんで……なんでなんだよっ……!」
震える拳をドンドンと机に打ちつけながら先生が繰り返し呟く。
左手で前髪をぐしゃりと握り潰し、そこから覗いた額には青筋が浮かんでいた。
「先生……」
「くそっ……くそっ……くそくそくそっ!」
「!?」
先生の瞳に浮かぶ激しい怒りの感情。
身体もカタカタと小刻みに震えていた。
「あ……あの……」
いくら交際を断られたからといって、この怒り方は尋常ではない気がする。
ど…どうしよう……。
なんとなく違和感を感じ始めた瞬間
「ふ……ふふ……あは……あはははは……」
「!?」
先生がおもむろに笑い出したのだった。