泣き虫王子と哀願少女
「なんで……ど……して……?」
どうしても信じられなくて、それでもリカちゃんに疑問の言葉を投げかける私。
「『なんで』ですって? そんなの決まってるじゃない。」
「え?」
「あんたのことが大っ嫌いだからよっ!」
「っ!」
途端にリカちゃんの表情が、激しい憎悪で歪み始めた。
かつて、人からこんなにも憎まれたことがあっただろうか?
「わ、私、そんなに嫌われる程、リカちゃんに何か悪いことしたの……?」
思い当たる節が全くなくて、率直な疑問をぶつけてみる。
「したなんてもんじゃないわよ。あんたの存在そのものが邪魔なのよっ!」
「っ!」
想像以上の返答に、思わず言葉を失くす。
「あんたさえ……あんたさえいなければ、とっくに潤は私のものだったのにっ!」
「潤君!?」