泣き虫王子と哀願少女
「私はべつに、あの人のこと好きとかそんなんじゃないのに……」
なんとか誤解を解こうと努力したものの、何を言ってもやれ照れ隠しだの恥ずかしがるなだの、全く聞く耳を持ってもらえなかった。
基本、明里が一度この突っ走りモードに入ってしまったらたとえ親友の私であろうと、もはや止めるすべはない。
まさに暴走列車である。
「まいったなぁ……」
相変わらず楽しそうな明里を尻目に、私はその場でがっくりとうなだれた。