泣き虫王子と哀願少女
翌朝から早速明里主導のもと、水沢君を観察する日々が始まった。
朝の登校から始まり、休み時間、お昼、放課後など、可能な限り彼を追跡する。
これではまるでストーカーではないか、と明里に詰め寄ったりもしたのだが、恋する女の子の特権だとかわけのわからないことを言われ、あっさり丸め込まれてしまった。
「……恋する女の子……」
あれから数日がたったが、やはり明里のいう「好き」とか「恋愛」とかはいまいちよくわからない。
水沢君を見ている中で日々膨らんでゆくのは、いったいどうやったらあんなにたくさんの涙が出るのか……、ただそれを知りたいという、その思いだけだった。