泣き虫王子と哀願少女
「それにしても、最近夢の内容が毎回進展してるような気がするんだよなぁ……」
夢なのではっきりとは思い出せないが、断片的な記憶をひとつひとつ思い返してみる。
初めは女の子だけだったのに、今では必ずその女の子の隣に男の子も一緒にいるのはなぜなのだろう?
本当は顔が一番気になるのだが、思い出そうとしてもどうしても顔に黒い靄がかかっていて、思い出すことができなかった。
「なんか、どんどん暗い気持ちになってきちゃった……」
考えれば考える程、今日の空と同じように気分がどんよりとしてきた。
「えーい、やめやめっ」
そんな気持ちを払い除けるように、ブンブンと大きくかぶりを振ってみる。
すると私の動きに合わせ、ストレートの髪をヘアーアイロンでウェーブに可愛くセットした髪が、一緒にフワリと舞った。