泣き虫王子と哀願少女


「ここだよね」



私の家から3駅ほど電車で揺られ、最寄駅から歩くこと10分。


どちらかといえば高級の部類に入るマンションの前へと辿り着いた。



「うっわー! 素敵なマンション」



そびえ立つマンションを見上げ、思わず感嘆の声をあげた私。


ドキドキしながらエントランスへと入って行く。


おそらく建てられてからそんなに経っていないのだろう。


エントランスの壁にはシミひとつ無く、置いてある備品もキレイに管理されていた。



「ガラスもピカピカーッ」



ふとガラスに映った自分の姿が目に入り、その前で足を止める。



「今日の服、変じゃないよね」



ガラスの前でクルリと1回転し、身だしなみのチェック。


今日の洋服は、上は白のレース付きブラウスにベージュのカーディガン。

下はベビーピンクのミニスカートにニーハイ&ショートブーツというコーデだ。


お化け屋敷の教訓を活かし、今回はファッションにも余念がない。


この日のために前もって念入りに明里と服を選び、スカートとカーディガンにいたってはおろしたてだ。

< 270 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop