泣き虫王子と哀願少女
ピンポーン
ガチャッ
「よお」
「あ、こ、こんにちは……」
玄関が開き、私服姿の潤君が顔を出した。
潤君、ジーンズにロンTのラフな私服姿もカッコイイっ!
思わず潤君を凝視する私。
そんな私と目が合った瞬間、潤君の顔が不意に赤くなった。
「?どうしたの?」
「いや……なんでもない」
口もとを押さえ、目をそらす潤君。
もしかして、お化粧崩れてる!?
普段化粧などしないのだが、可愛くなりたい一心で今回はナチュラルメイクにチャレンジしたのだ。
もしやそれが仇になったのだろうか?
そんな私の不安が、いつの間にか顔に出てしまったのかもしれない。
突然潤君が慌てたように口を開いた。
「いや、悪いっ、そーゆー意味じゃなくてっ……」
「?」
「その……今日はなんとゆーか、いつもと雰囲気が違うなぁと……」
耳まで真っ赤になりながら、恥ずかしそうに目を泳がせている。
「あ……、い、いつもの方がいい……かな?」
恐る恐る潤君を見上げ問いかける私。
「いやっ、よく似合ってるし、その……いいんじゃねーか?」
「ほ、本当っ?」
「あぁ」
「よかったぁ」
潤君が鼻先を指でさすりながら、照れくさそうにそう答えてくれた。