泣き虫王子と哀願少女


ふふっ! 頑張っておめかしして来てよかった!



「お邪魔しまーす」



ルンルン気分で潤君の家へと上がる私。



「俺の部屋こっち」

「うん」



潤君の後をついて廊下を進むと、一番奥の部屋へと通された。



お、男の子の部屋に入るのって初めてかも……!



ドキドキしながらゆっくりと足を踏み入れる。


するとそこには、女の子の部屋とは全く違う、モノクロ基調のシンプルな空間が広がっていた。



「う…わぁっ! すっごく広いねー!」

「そうか?」

「うんっ。私の部屋の倍近くはあるよー!」



私の部屋が6畳だから、潤君の部屋はおよそ10畳といったところだろうか。


しかも、私の部屋のようにゴチャゴチャと色々な物が置かれていないので、余計に広く感じるのかもしれない。


家具といえば、学習用の机にベッド、中央に置かれたガラス製のテーブルに本棚も兼ねたメタルラック、テレビぐらいのものだった。

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