泣き虫王子と哀願少女


「ねえねえ、潤君バイクが好きなの?」



壁に貼ってあったバイクのパネルが目に入り、潤君に聞いてみる。


よく見ると、ラックの上にもバイクの雑誌や模型が所狭しと並べられていた。



「ああ。すっげーカッコイイと思わねー? 早く自分で稼いだ金で免許取って、バイクも買いてーんだ」



そう言って、子どもみたいに目をキラキラさせながら潤君が嬉しそうに呟く。



潤君もこんな顔するんだ……。 ふふっ、可愛い!



普段表情が乏しい潤君を見慣れている為、思わずその横顔に見入ってしまう。



ここ最近、潤君の色々な表情が見られてすっごく嬉しいな。



そう思うと、嬉しさから私の顔も自然と緩んでしまうのだった。

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