泣き虫王子と哀願少女
「あっ……」
「あの……」
見つめあったまま、硬直して動けなくなる私と潤君。
な、何か言わなきゃっ……!
そう思うものの、頭が真っ白になってしまい何も言葉が浮かばない。
ドキドキドキドキ……
抱きとめられた腕から、潤君の熱が伝わってくる。
その熱が私へと伝線して、胸が焼けるように熱くなった。
「深海……」
「は、はいっ!」
沈黙を破るように潤君が私の名前を口にする。
潤君の真っ直ぐな瞳が私へと降り注いだ。
「俺……俺さ……」
「あ……」
もしかしてこれって……。
淡い期待を胸に、潤君の言葉の続きを待つ私。
そんな私に潤君が再び口を開いた。