泣き虫王子と哀願少女
2日後。
大事を取って火曜日も学校を休んだ私は、4日振りに学校を訪れた。
教室に顔を出すと、明里がとびきりの笑顔で私のもとへと駆け寄ってきた。
「雫ーっ! 会いたかったよーっ」
「わわっ、明里ってばちょっと」
勢いよく私に抱きつき、頬をすり寄せてくる。
「風邪はもういいの?」
「うん。もうすっかりよくなったから大丈夫だよ」
「そっか。それならよかった」
安堵した表情で、私にもう一度微笑む。
「それで、日曜日もバッチリだったんでしょ?」
「日曜日……」
私の表情が曇ったのを見て、明里の顔からも笑顔が消えた。
「えっ?なに?もしかして何かあったの?」
「うん……」
「『うん』って雫……?」
「エヘヘ、私、フラれちゃったみたい」
「フ、フラれた~っ!?」
天地がひっくり返るほどビックリした様子の明里が、目を見開いたまま詰め寄ってきた。
「嘘でしょっ!? なんであの状況でフラれんのよっ」
「厳密には直接フラれたわけじゃないんだけど……。潤君、好きな子がいるんだって」
「好きな子? 雫のことじゃなくて?」
「うん。私以外の女の子……」
信じられない様子の明里に、日曜日の出来事をかいつまんで説明した。