泣き虫王子と哀願少女
「じゃあ、そのネックレスをくれた女の子のことを今でも想ってるってこと?」
一通り説明し終えた私に、確認するように明里が聞いてきた。
「うん。多分……」
「多分て……」
「ごめん、多分じゃなくて絶対だと思う」
「雫……」
少しでも可能性があるならば違うと信じたかったが、さすがにあんな潤君を間近で見てしまったら、疑う余地さえなかった。
「でもさ……でも、あんた達あんなにいい雰囲気だったじゃん。水沢君だって雫のこと抱きしめたりしたしさ」
「うん……。でもそれはきっと、友達としての『好き』だったんだよ。悲しいけど、仕方ないよね……」
「雫……」
キーンコーンカーンコーン
「あっ、ほら、ホームルーム始まるよ」
「う、うん……」
明里に心配かけたくなくて無理矢理笑顔を作った私は、そのまま自分の席に着き机に突っ伏したのだった。