泣き虫王子と哀願少女
それから1週間ほど経ったある日の放課後。
私は以前潤君から借りた本とDVDを返すため、C組の教室へとやってきた。
潤君とはあれから1度も会っておらず、もちろん潤君の方からもなんの音沙汰もない。
いつまでも借りてるわけにはいかないよね……。
本当は会いに行くのがものすごく怖いのだが、いつまでもそう言っているわけにはいかなかった。
教室静かだけど、まだいるかな。
カラカラカラ
心なしか、いつもより重く感じられる教室のドアを恐る恐る開いて行く。
誰も……いない?
シーンと静まった教室を見渡すと、窓際の席で頬杖をつきながら校庭を眺めている潤君の姿が、視界の隅に映った。
ドキンッ
ときめきだけじゃない、不安も混じった鼓動が跳ね上がる。
しかし、ぼんやりと外を眺め続けている潤君は、こちらに気付きそうな気配が全くなかった。