泣き虫王子と哀願少女
「あ……はは……。まいったな……。まさか……ここまで嫌われちゃってるなんて……」
膝がガクガクと震え、そのまま床に崩れ落ちる。
潤君の氷のように冷たい瞳が、目をつぶっても瞼の裏に浮かんできた。
やだっ……!
思い出したくなくて、頭を抱えてまるで追い払うように激しく左右に振る。
グラグラと揺れる体が、今にも倒れてしまいそうだった。
「雫っ!?」
「……? 明……里……?」
恐らくは心配して様子を見に来たのだろう。
私の様子に驚いた明里が、青ざめた顔で駆け寄ってきた。
「どうしたのっ? 水沢君と何かあったの!?」
「……う……。明里ぃ……っ」
明里の顔を見ると同時に、私はすがるように明里に抱きついた。
「えっ!? ちょ、 ちょっと、雫っ。大丈夫?」
「っ……」
悲し過ぎて、声が声にならない。
「よしよし、わかったから。ちょっと落ち着いて……?」
「うぅ……」
そう言って何もしゃべれない私の背中を、明里が優しくさすってくれた。