泣き虫王子と哀願少女


「っじゃあ、約束の印に……っ、アタシの……うっ……一番大事な宝物……ジュンにあげるっ……」


「いいの?」


「うんっ」


「わかった。じゃあ、しーちゃんも約束してくれる?」


「約束……っ?」


「うん。しーちゃんの中の泣き虫さんとサヨウナラして、これからはボクがいなくても泣かないで頑張るって」


「泣いちゃっ……うっ……だめ……なの?」


「うん。しーちゃんが泣いてると思うと、ボクはとっても心配なんだ」


「うっ……うぅ……」


「ボクがしーちゃんの泣き虫さんを半分もらうから、だから、もう泣かないで?」


「うんっ……ひくっ……わかったっ……!」


「ボクがおじいちゃんちに行くのは秋になってからだから、それまではまだいっぱい遊ぼう?」


「うんっ……毎日っ、いっぱい……いーっぱい遊ぼうっ…… ―― 」

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