泣き虫王子と哀願少女
「潤君お待たせっ」
「おう」
以前と変わらない返事が返ってくる。
まさか……まさか、そんなことないよね……。
「じゃあ行くか」
「うん」
2人並んで、以前と同じようにニャン太のもとへと歩き出した。
以前と同じ……。
もしかして……ちゃんと私が『好き』って言ってないから、潤君に本当の気持ち伝わってない!?
一度気になりだすと、もうどうにも止まらない。
そうだよね。どう見ても潤君鈍感そうだし、乙女心に疎そうだもんね……。
自分のことは棚にあげて、潤君の欠点ばかり掘り起こす私。
でもでもっ、ちゃんと抱きしめてくれたしっ……!
いやいや、それはやっぱり『ラブ』じゃなくて単なる『ライク』だったとか……!?
ひとり悶々と考えていると、いつの間にか裏庭へと到着した。
グルリと辺りを見渡してみたが、ニャン太の姿はまだどこにもない。
よしっ! 今のうちにちゃんと確認しておかないとっ!
珍しく積極的な私が、コホンと咳払いをしたあと早速潤君へ話を切り出した。