泣き虫王子と哀願少女
「そ、その…! 水沢君のその感動しやすいところというか、泣き虫なところというか……―― 」
「……っ馬鹿にしてんのか?てめぇ……」
「……っ! そ、そーじゃなくて……! と、とにかくその、涙を流せるところに憧れてましてっ……!」
「……あぁ?……」
凍りつくような冷たい視線に、膝から崩れ落ちそうな体をなんとかこらえ大きく息を吸う。
「だ、だからその……、私に、涙の流し方を教えてほしいんですっ!」
突拍子もない私の言動に言葉を失った水沢君は、あんぐりと口を開けたまま、再びその場で凍りつくのだった……。