泣き虫王子と哀願少女
「―― ……と、いうわけなんですが……」
途中何度かつまりながらもようやく説明を終え、ホッと一息つく。
……今度はちゃんと伝わったかな……?
内心不安でいっぱいな私は、また怒鳴られるのではないだろうか……という思いから、うつむいた顔をなかなかあげられずにいた。
「……っ! っくっ……!」
長い沈黙のあと、ギュッと目を閉じている私の耳に聞き覚えのあるこらえるような嗚咽が聞こえてきた。
「!?」
何事かと驚いた私が急いで顔をあげると、そこには今まで幾度となく目にした涙でくしゃくしゃになった水沢君の顔があった。