泣き虫王子と哀願少女
―― 歳は19か20?……私よりちょっと上くらいかな……?
停止したままの思考がようやくゆるゆると動き出す。
流れていたエンドロールが終わりを告げ、ひとり……またひとりと、満足気な表情をした客がまばゆい世界が広がる扉の向こうへと姿を消して行った。
……あ……
その光を目にした私は、ようやく自分を取り戻す。
いけないものを盗み見てしまったような何とも言えない後ろめたさを覚えた私は、扉へと続く人波に紛れそそくさとその場をあとにしたのだった。